優しくしないで、好きって言って


「これ見て俺のこと思い出してくれた?」

「……なっ」


 いきなり問いかけてきたその人は、少し悪戯っぽい表情で私を見ていた。

 見られた私は、内心ドキドキのまま口を動かす。


「……ちょっとは思い出したかも、ね?」


 だって図星だったんだもの。

 瑛大がいなくなってからも、私は毎日この子のことを見ては二人の思い出を辿っていたから。


「ふーん、そっか」

「な、なにか不満?」


 恥ずかしくなって目線を逸らす私。

 そのままベッドのシーツを一点に見つめていると、隣で小さく息を吸う音が聞こえた。


「ううん、嬉しいだけ。俺はずっと考えてたもん、七瀬のこと」

「え?」

「今なにしてんのかなとか、次いつ会えるのかなとか」


 ……うそ。

 瑛大は違うのって、あの時悲しい気持ちになってたけど。


「だから七瀬にまた会えた時は、すごく嬉しかった」


 ずっとずっと会いたいと思ってたのは、私だけじゃなかったってこと?