優しくしないで、好きって言って


「……うん。その、ほんとありがとうね」

「どういたしまして」


 小さな声でお礼を言った私に返された、柔らかな微笑み。

 なんだろう……なんだか急に気恥ずかしい気持ちに襲われてるような……。


 耐えきれずに目線を逸らした時、瑛大が呟くように声を響かせた。


「……そういえば、あのくま、ちゃんと持っててくれたんだな」

「へっ」


 見ると瑛大の視線は、枕元に置いてあるぬいぐるみへと向かっている。


「まあね」


 小さく返して、同じように眺めた。

 私が小さい頃から大切にしている、テディベア。

 大きな首元のペンダントが印象的なその子は、瑛大が引っ越す前、プレゼントしてくれたものだった。


 ──瑛大もこの子のこと、覚えてたんだ……。