優しくしないで、好きって言って


 ……あるのか?

 ないと言おうと思ったものの、思い当たる節があって言葉に詰まる。


 倒れる前の瑛大ときたら、思い返すのも恐ろしいくらいすごかったんだから。

 急に別人みたいに怖い顔になって、容赦なく私をドキドキさせてきて……。

 私を落とすための作戦だってわかってるのに、あの瞬間は本当に瑛大が私のことを好きなのかと錯覚してしまうくらいだった。


 とはいえ、私が倒れたのはそれだけのせいではないと思う。

 会えないと思っていた人がいきなり現れたり、誕生日に婚約を言い渡されたり。

 きっと短期間に色んなことがありすぎて、脳と身体が同時に限界を超えてしまったんだ。


「とにかく、顔色戻ってよかったよ。もう平気そう?」


 頭の中で色んな出来事を回想していると、覗き込んできた瑛大とバッチリ目が合った。