優しくしないで、好きって言って


「許してよ。ここまで七瀬を運ぶの色々と大変だったんだからなー?」


 ──そうだ。

 私、あの時急に視界がぐるぐると回りだして、倒れたんだ。


「もしかして、ずっと私のこと看病してくれてたの?」


 全てを思い出すなり、そろりと訊ねた。


「まーな」

「……迷惑、かけたわね」


 膝の上に置いた手をぎゅっと握り、見つめながら言う。

 ここで寝てたってことは、疲れて寝てしまうまで、一晩中つきっきりで看病してくれてたってことだ。



「別にいーよ。さっきああ言ったけど七瀬軽いからほんとは運ぶの楽だったし。そもそも、倒れたのは俺のせいだし」

「そんなことっ」