優しくしないで、好きって言って


 ……なによ、これ。

 襲い来る未知の感覚に、無意識にもぎゅっと目を瞑る。

 すると、少しゴツゴツとした大きな手が、さらりと頬の上を滑った。


「だってさ、七瀬全然わかってねぇんだもん」


 耳元で響いたその声に背筋がゾワッと震え上がった。

 反動で目を開けるとすぐ、先に私を見つめていたらしい瞳と視線が絡み合い、呼吸が止まる。


 ドキンッ、ドキンッ、と心音が身体中に鳴り響いていた。


「七瀬……」

「……瑛、大」


 ……だめ。

 じんわりと涙が滲んできた。

 これ以上見つめられたら私──。


「七瀬」


 ──あれ? 

 なんだろ、急に目の前がぼやけて……。


「……なせ……せ……」


 それに、なんか変……だんだん瑛大の声が遠く──。