優しくしないで、好きって言って


 その瞬間、くるりと景色が一転し、トンッと背中が何かにぶつかって小さく跳ねた。

 直後、視界を埋めたのは。


「え、いた……?」


 私の身体の横に両手をついた、瑛大の顔。

 私は目を見開いたまま固まった。


 いったい、なにがどうなって……って、ええ!


「あああ、あんた何するつもり!?」


 急に近づいてきた瑛大の顔に、慌てて声を発する。

 そんな抵抗に構うことなく、瑛大は更に近づいてきて。


「ちょ、ちょっとお!」

「七瀬、いい匂いする」

「……っ、変なこと、やめ……っ」


 ドッドッと心臓が激しく早鐘を打つ。
 
 必死で押し返すも、私の力じゃ全く敵わない。

 そのまま首筋に顔を埋めてきたと思ったら、柔らかな感触が触れて、そこから一気に火がついたように身体が熱くなった。