優しくしないで、好きって言って


 でもまさか、実玖留が恋をしていたとはねー。

 その相手は瑛大と一緒に合コンに遅れてきた男の子、篠原くんだっていう。

 たしか猫か犬を助けて遅れちゃったんだっけ。いい人そうだし、実玖留にはぴったりかも。


 そんな篠原くんとは、あれから数回メールのやり取りをしているらしい。

 結構やるじゃん、なんてからかってやったら、実玖留ってば真っ赤になっちゃって可愛かったな。


 私にお願いがあるって言い出した時は驚いたけど。

 親友のためなら一肌でもふた肌でも脱いでやろうじゃない。

 うふっ、うふふふふふふっ。


「お嬢様……七瀬さん、着きましたよ」

「っ!」


 咄嗟に辺りを見回せば、既に車は止まっているし、もう完全に家の前だった。