「つまり、七瀬にはずっと忘れられない相手がいたってわけね」
「……っ」
「ふふっ。それがあの綾城くんだったなんてね〜! あの時は一目惚れしたのかと思ったけど……そういうことだったんだ」
うぐっ、実玖留ったらなんでこうも鋭いのよお。
言い返せない私を置いて、桜色の唇がまたにやりと歪んだ。
「でもいいなぁ。小さい頃からの想い人と許婚だなんて、夢みたいだわぁ」
「だったらいいわよ……」
「えっ、違うの?」
「……昔はたしかに……好き、だったけど。でも今は……。それに瑛大だって私のこと、好きとかじゃないし」
「……へぇ、てっきり幼い頃に想い合った二人が運命の再会を果たして、更には運命の婚約! て思ってたんだけどなぁ」
たしかにそれだったら、ドラマでも作れそうな憧れのストーリーね。
昔離れ離れになった想い人と、数年後たまたま友達に連れられて行った合コンで再会して……。
ん?
そこまで想像して、ふと疑問が頭に浮かんだ。



