「七瀬ちゃん、婚約者ができたって本当!?」


 世の中とは何と狭いのだろうか。


「えっ、それは……」

「ごまかしても無駄よ! お母様から聞いたんだから」


 嗚呼、どうやら私にはもう、逃げ道というものが残されていないらしい──。