優しくしないで、好きって言って


「まあ、お嬢様が仰るなら、そういうことにしといてあげますよ」

「なにそれ。なーんか随分と上から目線じゃない?」

「おや、これは失敬」


 くつくつと響く愉しそうな声。

 ……もう、竜胆はいっつもこうなんだから。



「では、俺はそろそろ失礼致します」

「……ええ、お疲れさま」


 ぺこりと頭を下げる彼に、私はにこりと口角を上げる。

 竜胆は、ただ挨拶をしたかっただけらしい。


「改めておめでとうございます」


 そう一言言い残すと、パタンと音を立てて扉の奥へ姿を消していった。



「はあ……」


 そんな中、私は一息つきながら倒れ込むようにベットに身を預けた。