優しくしないで、好きって言って


「……なに?」


 と頭を斜めにする私。

 そんな私に、その男はすかさずこう言った。


「〝あの夢〟の」

「……っ」

「その方がお相手だったんですね〜」

「ちょっ、竜胆!?」


 ボッ。

 顔から火が出るとはこのことだ。


 ……というか竜胆め。あの時は何も言ってこなかったくせに、あえてスルーしてたなー?


「よかったじゃないですか、想い人と許婚だなんて」

「はあ!?」


 ニヤニヤとした悪戯な笑みに、体温が更に急上昇する。


「べ、別に想い人とかじゃ、ないし」

「えー、本当ですか?」

「ほんとよ! そりゃあ昔は好──じゃない! あなたには関係ないことよ」


 ばかばか私。

 なに墓穴掘ってるの!