優しくしないで、好きって言って


『じっとして』

 そう言われても、無理に決まってる。


 再会して初めて見た時も思ったけど、瑛大はあの頃よりかなり背が伸びた。

 昔はそんなに私と変わらなかったくせに。

 今はきっと、180cm近くあるんじゃないかってくらいに見える。

 だから160cmちょっとの私は今、その胸にすっぽりと埋まっている状態なんだ。


 触れた部分は熱くてたまらないし。鼻孔を擽るその香りは、脳を溶かすくらいに甘い。

 これ以上くっついていたら、絶対おかしくなっちゃ……。


「それ、あげるよ」

「……へ?」


 いつの間にか離れていた身体に、ぽかんとする。

 今起きた出来事がさっぱり理解できない私は、ひたすら困惑するしかできない。

 一方瑛大はというと、謎の一言とその場に立ち尽くす私を残し、部屋を出ていってしまった。



「なんなのよ……」