「……ふぅん。そっか、〝俺なんか〟とじゃ不服なんだ」
「や、そうは言ってないでしょ!?」
「じゃあなに、好きなやつでもいんの?」
「そっ、れは……」
まさかそんなところを突っ込まれるとは思ってもみなかった。
心なしか、言葉遣いも荒くなってるし……!
途端に冷や汗がぶわっと浮かんでくる。
「だからっ、私はただ、親が勝手に決めた結婚に反対なの!」
追い詰められた私は、焦ってほぼ投げやりにそう叫んでいた。
すると間もなくして、瑛大の口から「なるほど」という言葉が零れた。
……なんとか、わかってくれた?
「そういうことだから──」
「なら、俺のこと好きにさせればいいってことね」



