はあーーーっ、危なかった。
ふと我に返った私。
だって、おかしいじゃない。
この前はあんなにも素っ気なかったくせに、急にそんなこと言われても信じられる?
……まあ、あの時自転車に轢かれそうになったところを助けてくれたのも事実、ではあるけど……。
私は思い出したんだ。
あの、合コンでの目を疑うような光景を。
瑛大はきっと女扱いに慣れてるだけ。
だから、〝七瀬とだったら〟なんて本気なわけないの。
「冗談で言ったわけじゃないよ」
思考を巡らせていると、ぽつりとそんな声が落とされた。
「俺には断る理由もないから了承した。……それに、この話はお互いの家にとってもマイナスな話じゃないしな」
「っ、そう……」
……ほら、ね。
自惚れなくて正解だった。
それってつまり、私が特別だからとかそんなんじゃなくて、ただ瑛大にとって不都合のない相手だからってことなんじゃない……。



