なぜか緩やかに上がった口の端。 続いて何かが私の肩を掴んだかと思えば。 「俺は、七瀬とだったらいいって思ったんだけど」 「……っ」 耳を包むような揺るぎない声に、またもや心臓が大きく跳ねた。 ドッ、ドッ。 軽快なリズムを刻みながら、それは全身に響いてゆく。 「瑛大……」 なにそれ。 私とだったらなんて、そんな……。 ──って。 「も、もう冗談はやめてよ」