***
ドキドキと心臓が音を立てている。それも、常軌を逸するくらいに。
それは、昔好きだった人と密室に二人きりでいるから?
……それもあるけれど、そんなのは一番の理由ではなくて。
「ねぇ瑛大、どういうつもりなの?」
意を決し、拳を握る。
〝そういうつもりでここに来た〟
要するにそれは、瑛大が私との結婚を承諾しているってこと、よね……?
「どうって?」
「だからその、私の……婚約者になるって……」
すぐに聞き返してきた彼を前に、私はそろり確かめるように言葉を並べる。
すると、
「……っ?」
メニュー