優しくしないで、好きって言って


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「お誕生日おめでとう」


 9月14日、年に一度の特別な日。

 この日も例年通り、新条家にて私──新条七瀬の誕生パーティーが開催されていた。


 真っ赤なドレスに身を包んで、豪華なお料理を食べて、ゲームをして、記念撮影なんかもしたりして。

 本当にいつも通りの、絵に描いたような幸せなパーティーだった。


 ……そんな中、それは突然にやってきたんだ。



「七瀬、ちょっといいかな?」


 お客さまを見送り、ほっと一息ついたそのすぐ後。


「……なに、パパ」

「実はな、お前にサプライズがあるんだ」

「サプライズ?」


 後ろから話しかけてきたブロンドヘアのその人は、いつになく穏やかな顔に見える。

 隣にいるママもそう。なにかとてつもなく喜ばしいことでもあったような──。