優しくしないで、好きって言って


 それが見事に狂ってしまったわけだから、人生どうなるのかわかんないってことね。

 そもそも、想いが伝わってなかったとか全くもって想定外すぎるし……って。


 今はそれどころじゃなかった。


「それより七瀬、今度どっか行こうよ。二人きりでデート、約束したよな?」


 切り替えるように呟いて、俺はするりと細い指に自身のそれを絡める。

 すると、


「……べ、別に……いいけど」


 潤んだビードロのような瞳が、上目遣いに俺を見つめた。

 それも、頬を紅潮させながら。

 本人は上手く隠してるつもりなんだろうけど、照れてんのがバレバレ。

 昔から、七瀬にはこんなふうにわかりやすい嘘をつく癖があるんだよね。