優しくしないで、好きって言って


「ちょっと、あなた!」


 思い切り叫ぶ。

 店の外で立ち止まりスマホを操作していたその人は、驚いたような顔をして私を見た。


「なんでさっき助けてくれなかったの」

「……なんでって、別に。困ってると思わなかったから」

「はぁ!?」


 なによ。

 ……なによそれ。


 つまり、さっきの〝ごめん〟は〝じゃましてごめん〟ってこと?


 悔しい。

 よくわからないけれど、その時私の心を一気に蝕んだのは、そんな感情だった。


「……もういい」


 聞こえるか聞こえないかの大きさでそう零した私は、俯きながらくるりと背を向けた。