優しくしないで、好きって言って


「瑛大、考え事?」


 気づくと、ヘーゼルの瞳が俺を覗き込んでいた。


「……ちょっとな」

「なによー、せっかく久々に会えたのにぃ」


 そうやって俺の腕に擦り寄ってくるその声は、ついこの前までの彼女からは想像もできないくらい、甘いものだった。

 それだけじゃない。俺を見てくる目もそうだ。


 七瀬の目は本来、優しい形をしている。

 普段は強気な性格に隠れてか、キリッとして見えているだけで。

 それが今は、凝視しなくてもわかるくらいに解けて見える。


 因みにここは俺の部屋。

 今日めでたく俺の学校の中間テストが終わった記念に、家に来るかと誘ったんだ。

 つまり、想いを伝え合ってから会うのは、これが初めてになるわけ、なんだが……。