eita side * 『好きだよ、七瀬』 言うつもりなんてなかったのに、その時覚えた衝動を止められなかった。 気づけば腕の中に七瀬がいて、俺はそんなことを口にしてた。 普通、いきなり好きだとか言われたら驚いて固まると思うだろ。 それが──。 『……私が好きになれる人は、この世で瑛大一人だけみたいね』 目に涙をいっぱいに浮かべて、零しながら、紡ぎ出されたそれ。 まさか、逆にこっちが驚かされるなんてな。 ……いや。その時だけじゃない。 七瀬には昔から、驚かされてばかりだった──。