「……うそ。本当は少し、期待してた」 せっかく瑛大が大切なことを打ち明けてくれたんだよ? 私も素直にならなきゃ、不公平よね。 照れ臭くも勇気を出し、チラリと隣を覗いてみたら……驚いた。 「……かわい」 「へ?」 「そんな可愛い新条七瀬ちゃんに、綾城瑛大くんから言いたいことがあります」 「……は?」 意味わからない。 急に敬語なんかで喋りだして、なのに表情はいつものクールなままで。 「ひゃっ」 狼狽える私の目の前にスッと伸びてきた手。 それが私の左手に触れた直後、弱々しい声が洩れた。