優しくしないで、好きって言って


 またもやじわりと込み上げてきたそれが零れぬように、私は唇を噛んでバレないように上を向き、早々に口を動かす。


「瑛大、私のこと結構好きじゃん……」

「今気づいたの?」

「……だって、全然好きって言ってくれなかったし」

「あんな態度で示してたのになあ」

「だからそれは、全部作戦なのかと思って」


 ……いや。

 今思えば、本心だったからこそあんなにドキドキさせられてた、のかな……?

 ふと過ったそれに意識を囚われていると、突然顔を掴まれ、グイッと左を向かされて。


「じゃあ七瀬は、俺が誰にでもああいうことできる人だと思ったんだ」

「あ、ああいうことって……?」


 少し不機嫌になってしまったらしい彼を、ドキリとしながら見つめる。

 それが不敵に歪んだかと思えば、その距離わずか──。