優しくしないで、好きって言って


 ガチャ。

 瞬きする隙もなくそれは開かれた。


「……これ」


 中から現れたのは、ガーゼのようなもので包まれた、指輪だった。


「これを、私に……?」

「ガキの頃買ったやつだからあんま豪華じゃないけど」

「ううん、とっても綺麗……」


 上部に小さく光るダイヤモンド。

 その輝きは、思わず見惚れてしまうほどのもの。

 つい拳を握りしめ、ぼうっと眺めてしまっていると、


「七瀬にまた会えたら、こうやって二人でペンダントの鍵開けようって決めてた」


 耳に響いたその声。

 振り向くとすぐ目と目が合い、刹那にして艶やかな黒に魅入られた。