「なーなせちゃんっ」 「っ、深町くん!?」 「わっ、と!」 ひとまず気持ちを切り替え、手洗い場を出た直後だった。 「大丈夫?」 ぼーっとしていたのがまずかった。 ぶつかりそうになったところを回避しようとしてよろけてしまった私。その腕を、彼の腕が掴んだ。 「うん、ありがとう」 「……」 「……」 ん? なんで放してくれない? 不思議に見つめる中、深町くんがじぃっと真剣な目をこちらに向けてきて。