優しくしないで、好きって言って


 ──そういえばこのペンダント、前から気になってたのよね。


 テディベアの首に掛けられたそれ。

 鍵穴はあるのに、肝心の鍵がなくて、何が入ってるのかはわからないけど。

 振るとカタカタと音がするから、中に何かが入ってるってことは、確かだ。


 ……って、そんなことは関係ない。


 今は約束を、思い出さなきゃ。

 私はよし、と拳に力を入れそっと目を閉じた。



***



「せ……七瀬?」

「えっ」


 ふと目が合って、名前を呼ばれていたことに気づく。

 
「も〜、ずっと呼んでたのにぃ」


 頬を膨らませた実玖留は、怒ってますと言わんばかりに私を見つめていた。