*
『……覚えてる? 俺が昔、七瀬にした約束』
あの日、瑛大に言われた一言を、私は家に帰ってからもずっと頭に巡らせていた。
夜ご飯を食べている時も、お風呂に入りながらも。
それでも一つも思い出せなくて──そんなうちに、パパがめでたく退院の日を迎えた。
2、3日安静にしていれば元通りだろう、という先生の言葉の通り、パパは顔色もよくすっかり元気になっていた。
ママと竜胆と私の3人は、それはそれは喜んで、お祝いのパーティーなんかもして。
安心した私は、ひとまず数日後に控えた中間テストに向け、勉強に勤しむことにした。
取り戻した日常。
だけどそんな中、私はある違和感を覚えていた。



