優しくしないで、好きって言って


「……そう」


 スッと顔を逸らした私は、今なお温かさの残る左手をもう一つの手で包み、隣にいる彼の横顔をそっと盗み見た。


 ……ねぇ瑛大。

 もし私がこの想いを今すぐ打ち明けたら。

 好きだよって伝えたら。

 あなたは、どんな顔する……?



「そうだ七瀬」

「な、なに?」


 いつの間にか到着していた病院の玄関前。

 瑛大につられてぴたりと足を止めた私は、少し首を斜めに捻りながら、隣をじっと見上げた。


「……覚えてる? 俺が昔、七瀬にした約束」

「約束……?」