「ん?」
「……その、別に聞くつもりはなくて」
「んな焦んなくても大丈夫だよ。聞かれちゃ困ること言ってないし」
「そ、そう……なんだ」
「どこまで聞いてたか知らないけど……俺が言った話、全部本気だから」
「……っ」
さらりと放たれたその言葉は、私の心臓をキュッと締めあげた。
自分の意思に反して、カァァッと顔の熱が上がっていくのを体感する。
『だからこれからは許婚として、俺に七瀬のこと、守らせてください』
ついさっき聞いたばかりの真剣な声が鮮明に蘇り、脳内で再生されたんだ。
今まで瑛大の気持ちが全くわからなくて、幾度となくやきもきさせられてきたけど。
何故か今回ばかりは、本当だとか、嘘だとか、そんなことは露も気にならなかった。
それよりも、心が私の中で叫んでる。
やっぱり私は、瑛大じゃなきゃだめなんだって。
瑛大が、大好きなんだって。



