「そっか。七瀬ちゃんは俺が手握ってたの、嬉しかったんだ」
「んなっ! そうとは言ってないでしょう?」
さっきまで落ち込んでいるように見えたのは、幻覚だったのだろうか。
突然吹き出したと思ったら、今度はくすくすと堪えながらも大笑いしているこの男。
笑いすぎて涙まで浮かんでるように見えるのは気のせい?
なんだか面白くなくてその横顔をムスッとした顔で見つめていると、
「っていうか七瀬、さっき俺と親父さんの会話聞いてたでしょ」
ギクッ!
落とされた爆弾に、私は冷や汗を浮かべながら顔を背けた。
まさか気づかれていたとは思わなかった。



