瑛大はママの電話を聞いて何もできなくなってしまった私に代わって、色々と動いてくれた。
大事な文化祭を投げ出してまで。
病室に入るまでの間、ずっと私の手を力強く握ってくれてた。
それがどれだけ私の心を支えてくれたか、知らないのかしら……。
「もう! 瑛大らしくないわね。よくわからないけど、私が感謝してるんだから素直に受けとりなさいよ」
「……七瀬に言われたくない」
「なによそれ、失礼ね」
人がせっかく励まそうと思って言ったのに……って、ん?
ここで怒って反論しちゃったら、逆効果なんじゃ……。
「あ、えっとね、そうじゃなくて。私は瑛大がいてくれたおかげでその、すごく安心できたというか……手も握っててくれたでしょう? だから、怖くなかったというか、傍にいてくれたのが瑛大でよかったって、そう言いたくて……」
「ふはっ」
「っなに?」
慌てて取り繕うように口から飛び出した言葉を遮ったのは、突然の笑い声。
きょとんとする私に向かって、瑛大は何やら企んだような顔を見せた。



