優しくしないで、好きって言って


「瑛大がいてくれて、助かった」


 病院の入り口までの道のりを並んで歩きながら、思っていたことをぽつりと口にする。すると、


「……ごめんな」

「え?」


 思いもよらぬ返答にパチリと大きく瞬きをする。

 私はそのまま引き寄せられるように、隣の顔を覗き込んだ。


「俺が冷静になってちゃんと話聞いてれば、もっと早く七瀬を安心させられてたんだ。……医者目指してるくせにな。俺もまだまだだって、正直思い知らされたよ」

「瑛大……」


 そんなこと、ないのに。


 いつもの余裕のある雰囲気が消えた彼の様子に、私はゴクリと静かに息を呑む。