優しくしないで、好きって言って


『ああ……やっぱりお前はパパの天使だ!』

『てんし?』

『そうだ。もう可愛くて仕方ない。……パパはな、七瀬のことがとっっても大好きなんだよ』

『へへっ、そっかぁ。じゃあ、パパが私のてんしね!』

『パパが? ハハッ、そりゃあ嬉しいなあ』


 どんなに忙しくても、そうやって愛だけは変わらずに伝えてくれたよね。

 あの時言ってくれた言葉……私、まだ忘れられないんだから。


「お礼を言うのはこちらですよ」


 じんわりと熱くなる目頭。

 それを静かに拭った時、そんな新たな声がして、自ずと頭が上がる。


「救われたのは、俺の方ですから」


 それは紛れもない、瑛大の声だった。