優しくしないで、好きって言って


「だから、瑛大くんと出会って笑顔の増えた七瀬を見て、少し安心したんだ」

「……」

「娘を……七瀬を、救ってくれてありがとう」


 力強く、それでいてとても優しい声だった。

 直接言われてるわけでもないのに、柔らかい雲が耳を撫でてるみたいな、この感覚。

 いつもパパはそう。

 大きく包み込むような愛を、私にくれるんだ。


 ……そう。いつだったか、私がまだ幼かったあの時も──。


『七瀬、こっちへおいで』

『なーに?』


 お風呂も入り終わり、ゆったりと寛いでいた寝る前の時間。

 急にパパが呼びかけてきて、私は招かれるままに、ソファに座っていたその人の膝の上に飛び乗った。