「心配かけてすまなかったな、七瀬。それから、瑛大くんも」
「いえ……」
「パパ! すまないじゃないわよ。もっと自分の身体大事にしてよ……っ。私、本気で心配したんだから」
「七瀬……」
自分でもびっくりした。
こんな言葉かけるつもりなんてなかったのに、胸の奥から溢れた言葉は止まってはくれなかったんだ。
そんな私の肩にそっと、瑛大が手を重ねた。
「ご無事でよかったです。……七瀬、よかったな」
「……うんっ」
その後すぐ、車を停めてきたんだと思われる竜胆が血相を変えて病室に飛び込んできて。
またもやママが一から説明することになった。
それから、仕事に戻るというママを竜胆が車で送っていき、ここに残されたのは私とパパと瑛大の3人だけという状況に。
気が抜けたのか、様子を窺っているのか。さっきまでの騒々しさとはうってかわり、ゆったりとした時間が流れている。
そんな静寂を切り裂いたのは、パパの一声だった。



