優しくしないで、好きって言って


「なんだか大事(おおごと)になってるみたいだけど……この人、過労で倒れただけなのよ」

「か、過労……?」

「ええ。ここ最近、食事も睡眠も疎かにしてたらしいの。だから、こうやってしばらく休んでたら元気になるって」


 最初、頭が混乱したのか思考が追いつかなかった。

 数秒の(のち)、ようやく全てを呑み込めた私は、きゅっと唇を噛み締めた。


「よかったあ……ってことは、無事だったのね」


 一瞬の衝撃を食らったのと同時、ふっと張り詰めていた糸が切れたみたいに心が軽くなる。


「本当に……よかった」


 視界がじわりと滲み出して、温かいものが頬をぽろぽろと伝っていった。