優しくしないで、好きって言って


「七瀬、こっち」

「うん」


 病院に着くや否や、私は瑛大に導かれるように足を走らせた。

 それから、新条リアム──そう書かれた病室の前に辿り着いたのは、間もなくのことだった。

 緊張がピークに達して、心臓が弾けてしまいそうなそんな中、


「パパ!」


 私は思いきり叫んで病室の中へ飛び込んだ。


「……七瀬」

「パパぁ」


 ブロンドヘアのその人は、ベットに寝転んだまま、驚いたみたいに目を丸くしてこっちを見ていた。


「大丈夫なの? 倒れたって……」


 ちゃんと意識はあるようだけれど、まだ安心はできない。

 近づいて訊ねると、


「ごめんねぇ、七瀬ちゃん」


 ふわりとそんな声が聞こえて、振り向いた。

 声の主は、少し困ったように眉を垂らした、ママだった。