優しくしないで、好きって言って


「七瀬さん! 瑛大さん! 乗って!」


 駐車場に到着すると、一足早く着いたらしい竜胆が既に運転席で準備してくれていた。


「急いで向かいます」

「……うん、お願い」


 後部座席に乗り込んだ私は、震える手をそっと膝の上に乗せる。


 もし酷い病気だったらどうしよう。

 もしこのまま元気なパパに会えなくなったら……。

 さっきから頭に浮かんでくるのは、考えたくもない悪い想像ばかりで。

 同時に思い出すパパの笑顔が、優しい声が、胸を苦しいほどに締めつけてくる。


「……パパ」


 ──お願い。お願いだから、無事でいて……。