優しくしないで、好きって言って

「行こ、七瀬」


 声をかけられるとともにパシッと手を掴まれ、「えっ」と息のような声が洩れた。


「でも瑛大、文化祭が……」

「こっちのが大事だろ。大丈夫、元輝に連絡入れてなんとかしてもらうから」


 瑛大……。


「ありがとう」


 繋がれた手を力強く握り返す。

 私は瑛大に手を引かれながら、走って駐車場へ向かった。


 ドクン、ドクン、と心臓が重く鈍い音を立てている。

 怖くてしかたない。

 だけどその分、必死の思いで足を動かした。