優しくしないで、好きって言って


***



「……ふぅ」


 息をつき、手洗い場の鏡に映った自分を見つめる。

 胸に手をあててすぐ、指先が震えているのに気づいた。


 会えないと思っていた人が、突然目の前に現れたんだもの。そんなの動揺しない方がおかしい。


 正直、まだ信じられない自分がいる。

 まだ夢を見てるんじゃないかって……でも。


「これは、夢なんかじゃないんだよね……?」



 私と瑛大が出会ったのは、幼稚園の頃だった。

 最初に声をかけたのは私。

 その日のお迎えの時間、たまたま教室に私と瑛大だけが残っていたのがきっかけだった。


 瑛大といえば、いつも一人でいる無口な子。

 そんな印象だったのが、話してみると意外と人懐っこいんだなって印象に変わった。

 それからいつの間にかよく遊ぶようになって、気づいた時には隣にいるのが当たり前の存在になっていた。


 そして小学校に上がった頃から、瑛大はどんどん人気者になっていったんだ。