優しくしないで、好きって言って






「七瀬、親父さんがどうした?」

「……どっ、どうしよ瑛大……パパが、病院に……っ」


 サーッと血の気が引いていく感覚が走った。

 身体に力が入らなくなり、スマホを持つ手が小刻みに震る。


『パパがね、さっき倒れて病院に運ばれたの』


 ママの声で告げられたそれは、私の思考能力の全てを消し去ってしまった。


「七瀬代わって」

「……っ」

「寿々香さん、俺です。……はい。それで、場所は……」


 私のスマホを手に取った瑛大がママと会話をしている。

 その様子をただ、じっと眺めるしかできずにいる私。

 すると程なくして、通話を終わらせたらしい瑛大がこっちへ向いて言った。


「久栖さんと連絡とれる?」

「っ、うん」


 それから私は竜胆に電話をかけ、瑛大が竜胆に事情を話し、車で病院へ向かってもらうことになった。