優しくしないで、好きって言って


「私を好きにさせたいなら、あなたも私のことだけ見てなさいよ……!」


 見上げると、いつもの半分くらいになった柔らかな瞳と出会い。


「ふはっ、七瀬も嫉妬してんじゃん」

「そうよ。悪い?」

「……悪くない」


 ──ああ。


 素直になるなんて私には無理だって、初めから決めつけてた。

 両手に持った刀は、握り締めたままこの手に磁石のように張り付き、離れることはないんだと。

 だけど実際は、思ったよりも簡単に離れ、鞘に戻すことができたのかもしれない。

 もっと早く気づけてたらよかったな……。


 ──だって今ほら、心がこんなにも喜んでる。



「七瀬、これから時間ある?」

「うん大丈夫」

「じゃあ、一緒に文化祭回ろ」

「うんっ」