優しくしないで、好きって言って


「私……頑張ってみる」


 最初はうまくいかないかも知れない。それでも。


「瑛大のところ、行ってくる」


 思い立ったが吉日。まずはその、第一歩を踏み出そうと思う。


「それでそこ七瀬さんです」

「ふっ……でしょう?」


 新条七瀬は強いんだ。


「じゃあ私、行って──」

「すみません、この人借りていきます」


 ──え?


 一瞬、何が起きたのかわからなかった。

 気づけば誰かに引かれていた手。