憎まれ口を叩きながらも、いつも私の傍にいてくれて、話し相手になってくれて、心配してくれて。
私がワガママ言っても、見捨てるなんてことはしなかった。
実際、瑛大が海外へ行ってしまった淋しさを埋めてくれたのも、竜胆だったのよね。
竜胆がいなければ、私はきっと落ち込んだままの日々を過ごしてた。
「ねえ竜胆」
「なんです?」
「私……ね。お世話係があなたで、本当によかった」
……そうね。
あの頃の私は、一人っ子の自分に歳の離れたお兄ちゃんができたみたいで、嬉しかったんだ。
それは多分、今も同じ。
「まあ、正直ムカつく時もあるんだけど──って、竜胆? どうしたの?」
「……いきなりとか、反則でしょ」
「へ?」



