それから、私には専属のお世話係がつくことになり、お迎えもその喜代重さんがしてくれるようになった。
そして……あの日を境に私は、いくらパパとママがお仕事で帰りが遅くなっても、遊びに連れて行ってもらえなくても、運動会に来てくれなくても。
淋しいなんて素振りは絶対に見せなかったし、そんな言葉は決して口にしなかった。
パパとママが大好きだから。
二人を困らせないために。
困らせる恐怖よりも、私は〝大丈夫〟な自分を選んだ。
そうしているうちに、私は誰かに甘えることができなくなっていた。
甘え方すらわからなくなって、そういう感情を表に出すこと自体、恥ずかしいものに感じるようになっていた。
……そのせいか、いつもいつも、ふとした時に素直じゃない態度をとってしまうんだと思う。
好意を見せることが妙に恥ずかしくて、自分じゃないみたいで、そういう時ほど、つい反対のことを口にしてしまう。
それが証拠に、
『七瀬は俺の婚約者だから』
瑛大が深町くんにそう言ったあの時だって、本当はそんなふうにまっすぐ言ってくれて嬉しかったくせに……それを、素直に表すことができなかった。
「だから、さっきも吾妻さんが羨ましくて」



