「ほんと。こういう場で食べる焼きそばって、なんでこんなにおいしいんだろう」
「瑛大さんが作ってくれたから余計、なんじゃないですか?」
「んぐっ! ちょ、急に変なこと言わないでよ」
食べている時にからかうのは反則じゃない?
さっき女子高生の群れから助け出してあげたの、いったい誰だと思ってるのよ。
恨みを込めて睨みつけてやったのに、竜胆は全く堪えてないみたい。それどころか、おもしろそうに口元に手を当てている。
気に食わない私は更にキッと目に力を込めた。
すると程なくして、竜胆がなにかに気づいたみたいな顔をして。
「……っ」
「ついてましたよ」
なっ……今指で!
「……教えてくれたら自分で取るのに」
「いやあ、どういう反応をするのか気になりましてね」
「はあ? どういう反応って……」
「熱っ!!」
竜胆の言葉に首を捻ったのと同時だった。
悲鳴に似た声が聞こえてきて、一瞬にして意識を持っていかれた。



