優しくしないで、好きって言って


 辺りを見回して見つけたその人は、女子高生らしき群れに取り囲まれていた。

 さすがはモテ男。

 うちにやってくる前、かなりのプレイボーイだったという噂を聞いたことがあるけど、本当なのかしら?

 そんなことを考えているうちに少し困ったような瞳とぶつかって、私は敢えて大袈裟にため息をついた。


 ……仕方ない。迎えに行ってあげるか。


「ごめん、ちょっと」

「待って」

「え?」


 一歩踏み出そうとした矢先、手首を掴まれ動きを止められた。


「焼きそば、食べるよな?」

「……うん。これから買わせてもらうつもり」

「じゃ、奢るよ」

「え?」


 いきなりどうしたのかと思ったら、そういうこと?

 理解した私は、すぐに言葉を続けた。