「わあ、すごい人ね」
駐車場を抜けた私は、思わず声を洩らした。
さすがは名門校の文化祭だけあって、老若男女様々なお客さんが訪れているようだ。
立ち並ぶ色とりどりの屋台。
私は目に見えてわかる人の多さに圧倒されながら、快適な曇り空の下、竜胆と肩を並べ歩いていく。
瑛大のクラスは屋台で焼きそばを作るんだって、この前電話で教えてくれた。このまま進んでいけばきっと……。
「あ。あれじゃないですか?」
不意に隣から声がして振り向けば、竜胆が斜め左の方を指さしていた。
それに導かれるよう視線を動かす、と──。
……あっ。
三角巾にエプロンをつけた、瑛大だ。
へぇ、あんなふうにやってるんだ。結構お客さんも来てるみたいね。
なんて思いながら歩みを速めようとして、瞬間、足が止まった。



