「ん、どうかしました?」 「べっつにーぃ? さ、早く行くわよ」 「ちなみにどちらへ。瑛大さんのところですか?」 訊かれて、ピクッと身体が跳ねた。 「……まあ、そうね」 会うのはあの日以来で少し緊張するけど、誘ってもらった以上は顔を出さない訳にはいかないし。 「って、なにニヤニヤしてるのよ」 「お気になさらず」 「できるか!」 ……もう、ほんっと竜胆ったら、私をからかうことを生き甲斐にでもしてるのかしら。