優しくしないで、好きって言って


 触り心地のいい、ふわふわとした薄いブラウンの毛。

 きゅるんと輝く、愛らしい黒い目。


 その顔をじぃっと見つめながら、思いを馳せる。


 瑛大に夢があるなんて知らなかった。

 それを反対されていることも。

 帰り際に巴さんが教えてくれたことも、全部初めて知った。


 瑛大のことはなんとなく知ったつもりでいたけれど、意外とまだ知らないこと、たくさんあるのよね。


 それに……ますますわからなくなってしまった。


 ──初めてだったのに。


 頭の中でそう呟いた私は、そっと唇に手を当てた。


 急にあんなことしてくるなんて……。

 瑛大にとっては、私とキスするくらいなんでもなかったのかな。